夜を楽しもう

50代おじさんの雑記録です

[DQ11S 8分の7しばり]21 / 21 クリア後の世界(下)

 全員の最強装備をそろえることができたら、冒険もそろそろ終わりが近いです。

 武器については、そんなに頭を悩ませることはないでしょう。片手剣や短剣などは、「二刀の心得」を習得しているメンバーが使うこともあり、複数作る必要があります。カミュには3種類の武器が2本ずつ必要です。「買い物できない」しばりのため、主人公の最強片手剣を作ることができない点が残念です。

 防具については、一番強いおしゃれ装備をそろえれば、それが最強なのだろうと簡単に考えていた時期もあるのですが、どうも違うみたいです。

 守備力が高い防具を選ぶことはもちろんですが、全属性ダメージ軽減の数値等も考慮して、作るべき防具を決めていきます。また、シルビアとマルティナについては、魅力の数値も評価に入れます。

 この時点では、それぞれのキャラクターに対する愛着がもう半端ではなくなっていますので、これまでの感謝の思いを込めて、一つひとつ丁寧に作ります。ありがとう、みんなこんなに立派になってくれて‥‥。

 この最強装備を作るために必要な素材とその入手方法をまとめた一覧表を、いつの日にか完成させたいと思っているのですが、これはなかなかの大仕事です。いつになるか分かりませんが、もし完成したらアップしたいと思います。


 本作についてはここまでにします。ラスボス戦やその後のどうかしている裏ボス戦、さらには連武討魔行など、触れていないコンテンツがまだいっぱいあります。これらについても、いつか自分なりの解析をまとめたいと思っているのですが、これらはすべてをフル投入して挑む必要がある難易度のものであり、ランダム要素に大きく支配される「8分の7しばり」で細かく取り上げるべきテーマではないように思うからです。


 最後に、ここまでプレイしてきた感想を列挙して、終わりにしたいと思います。

・ 主に装備やスキルパネルに重点を置いて「こうすればクリアできる」という道筋を綴ってきましたが、だいぶ偏った内容になっていると思います。

 カミュに短剣を使わせていませんし、ベロニカに早くからムチを装備させたらどんな展開になっていたのか、セーニャにヤリを装備させたら‥‥等々、やっていないことがまだたくさん残っています。

 自分自身、非常に懐が深い本作について、そのすべてを包含した上での正解を導き出したものではなく、いろいろある道筋の中の一つについて、やや詳細に記録した程度のものだと思っています。その程度の認識で読んでいただき、多少なりとも懐かしさを感じていただけたなら本望です。

・ 過去のドラクエ作品については、プレイしたことがないもの(10)や、プレイしたけどどんなだったかまったく覚えていないもの(7、9)もあるので、すべてのドラクエの中で本作がどうだったと論評できる立場に私はありません。ですが、全体の中で本作の完成度がトップクラスに位置するであろうことについては、まったく疑いをもちません。

 そんな私ですが、大好きな「8」と本作を比較すると、「8」の方が明確に優ると思う点が2点ほどあります。

 1点目は、あえて言葉を探すとすれば「冒険感」です。ドラクエ初の3D作品だったということもあるのですが、初めて「8」をプレイした時の、あの不安9割とワクワク1割に包まれた感覚が忘れられません。

 本作のマップが航空写真であるとすれば、「8」のマップはまるで誰かが色鉛筆を使ってうろ覚えで描いた絵です。その頼りないマップを見ながら、主人公一行は次の目的地に向かって走るのですが、町と町の間の距離は想像をはるかに超えて長く、いつまでたっても目的地は見えてきません。今向かっている方向は正しいのか、あとどれだけ走るのか、果たして無事にたどり着けるのだろうかという不安が常にありました。実際に、ルートを間違えてしまって道に迷い、そのうち夜になって、遠くに目的地の灯りが見えたところで敵に全滅させられるようなこともしばしばありました。あの不安感こそが冒険の本質だったのではないかと思うのです。冒険の目的地である「点」だけが重要なのではなく、点と点をつなぐ「線」にもワクワクが詰まっていたのです。

 違う例えを探せば、「8」で野山を流浪する冒険を体験したとすれば、本作は地下鉄やバスを乗り継いで都市の内部を移動して行う冒険だったと感じます。本作は本当によくできていて楽しかったけれど、プレイ中に不安を感じることはほとんどありませんでした。それは、システム的にあまりに親切すぎる本作が悪いということではなく、プレイ中に体感するマップの広さによる違いだったりするのかなぁと思います。

 ハードウェアの進化は凄まじく、本作と「8」では、比較にならないほどデータ量が増えているのだろうと思います。その膨大なデータ量を使って、もう一度あの壮大な草原や荒野や森の中をドキドキしながらさまよう経験ができないものかと期待してしまうのです。

 ここまで書いて、自分がいる場所をスマホで精細に把握できる今の時代に生まれた本作と、携帯電話を大切に握りしめていた時代に生まれた「8」が、それぞれの時代をしっかり反映しているのだということに気づきました。であれば、単なるじじぃの懐古趣味に過ぎないのかも知れませんね。

・ 続いて2点目です。

 「副目的」という言葉は、あまり耳なじみがあるものではありませんが、「主目的に付随する、従属的・二次的な目的」を表す語だそうです。ぴったりの言葉をいろいろ探してみたのですが、これ以上の語を見つけられませんでした。

 王道RPGであるドラクエにおいて、冒険の主目的は常に勧善懲悪です。一作目の竜王に始まる悪の親玉を倒し、世界に安寧・幸福をもたらすために、勇者一行は冒険に挑みます。

 ですが、これだけに留まらない作品がドラクエにはいくつかあり、これらはしばしば名作と呼ばれているようです。例えば「5」です。冒険の中で、主人公は結婚し、家族を得ます。そして家族と力を合わせて悪の親玉を倒します。非常にシンプルで分かりやすいドラマですが、我々プレイヤーは勧善懲悪だけではなく、副目的としてこの「家族の幸せ」を願い、それを実現しようと思いを込めてプレイします。

 「8」では異なる副目的が示されます。この作品を貫くテーマは「姫の初恋」です。これも超シンプルです。様々な運命に人生を翻弄される姫の初恋相手は、ゲーム開始時から目の前にいます。まるでおとぎ話のような恋路を横目に見ながら主人公一行は冒険を続け、ラスボスを倒し、さらにエンディング後の冒険まで終えて、姫の初恋は満願成就します。同時にプレイヤーの満願も成就します。

 副目的は、時にメインであるラスボス討伐を超えて、プレイヤーの主たるモチベーションとなり、一番大きな感動をもたらしてくれるものなのです。

 本作のストーリーにおける副目的は、副題にもなっている「過ぎ去りし時を求めて」なのかなぁと思います。時が戻るのならば、どうにかしてあの人を救いたい‥‥。深くて尊いテーマですが、非常に扱いが難しいテーマでもあると思います。本作では、このテーマを非の打ちどころのないストーリーにまとめていると思いますが、「せめてゲームの中だけでも、単純明快なハッピーエンド・ストーリーを味わいたい」と思っている私のようなおっさんは少なくないでしょう。カタルシスという点で、本作は少しだけ損をしたかなぁと感じるのです。

・ 以上、いろいろと書きましたが、ドラクエで育った世代として、本作をプレイできてよかった、本作が存在する時代を生きることができて幸せだった、というのが一番の感想です。大げさな表現かも知れませんが、心底そう思います。

 これだけ完成度を上げてしまうと、次作を完成させるのはそりゃ大変だろうなと思います。なかなか難儀しているみたいですが、リスペクトの気持ちをもって心穏やかに待ちたいと思っています。ありがとうございました。